「我々が全精力を傾けて推進するもっぷばとらぁ計画」
「しかしその計画はあのへっぽこべるぐの所為で大きく変質させられてしまった」
「MBSはあのような目的の為に開発されたのではないぞ」
「(そりゃあ単なる道楽で開発したシステムだしなぁ・・・)」
「君、何か言ったかね」
「いいえ、何も」
「我々には新たな希望が必要だ」
「左様・・・よってこれより新たな計画、『もっぷすとらいかぁ計画』を発動する」
「これこそ我らが真の希望」
「長谷川」
「はっ」
「任せたぞ・・・」


もっぷばとらぁ☆まるち外伝

もっぷすとらいかぁ★せりお

第1話

あの娘は可愛いすとらいかー


 

「・・・と言う訳なんです綾香お嬢様」
「ふむふむなるほどねー」
 うんうんと綾香が頷く。
 もっぷすとらいかぁ計画とは!!!
 ぶっちゃけた話MBSを積んだセリオをスーパーヒロインにしよう!という超馬鹿げた計画である!
 しかもこれを考えたのは来栖川の上層部である。
 来栖川、馬鹿ばっか。
 上層部は人気爆裂ろりろりぃ☆なマルチをヒロイン化したかったらしいが、いかんせん彼女は愛しの浩之の為にしか動かない。
 そこで人気こそマルチに及ばないが従順でよ〜く言うことを聞いてくれるセリオに白羽の矢が立ったというわけだ。
 ・・・こんなこと考える連中でよく会社潰れないわねー。
 綾香は心の底から関心した。きっと部下が優秀なのね。
 事実そうである。
 で。
「私に何をしろっていうの?」
「つきましてはですね、綾香お嬢様にも計画に参加していただいて・・・云々」
 ごにょごにょだらだらと話す長谷川。
 ぶち。
な・に・を・す・る・の?

 ごごごごごごご・・・

 綾香の背後から立ち上る炎のオーラ。
 そのオーラからは「早く用件を言わんかいこのボケがあぁぁぁぁぁぁぁぁ! ウチは気が短いんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」といった様子を物語っている。
 思わず後ずさる長谷川。
「は、はぃぃ(T−T) よーするにセリオと最も親しい綾香お嬢様にですね、セリオの監督をお願いしようかと・・・」
「監督ぅ?」
「はい。立派なスーパーヒロインになれるように」
 ・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。
「わかったわはせっち
「はせっち・・・」
 これでも貴方の1.5倍は生きているんですけど・・・。
 情けない呼び名に長谷川は頭がくらくらした。
「セリオは私が立派に育ててみせるわ!」
 びしい!と親指を立てる。
 ヨクデキマシターヨクデキマシター。
「でも、スーパーヒロインって言ったって、倒すべき敵が居ないじゃない。意味がないわ」
「その点についてはご心配無く。なにしろ・・・」

 ぴーぴーぴー

 不意に鳴り出す長谷川の携帯。
「私だ・・・、・・・・・・わかった、直ぐそちらへ向かう」
 ぴっ
「綾香お嬢様、早速ですが敵が現れました。セリオも現場に向かったとの事なので、我々も現場へ急行しましょう」
「はいはい。急ぎましょ、はせっち」
「・・・・・・その呼び名だけは勘弁してもらえませんか?」
 はせっちは心の中で泣いた。

 

 

 ビルの屋上に一人の少女の影があった。
 髪を風になびかせながら佇む彼女は、ご存知我らがヒロインセリオである。
 彼女は遥かな高みから、眼下の光景を見下ろしていた。
「・・・・・・バカ発見」

 

 

「ぼんじゅーるぼんじゅーる☆」
 すきっぷすきっぷららんらん。
 たのしいたのしいぼんじゅーる。
 そう、彼は・・・。

 

ピエール!!!

 

だった。
 もっぷ4話に登場したピエール橋本モンタリオである。
 相変わらず頭のネジのゆるい男だ。
 すたんすたんとスキップをしながら町を練り歩く。
 もちろん、周りの者達は怖がって遠巻きにしている。
 ひそひそと話し声が聞こえるが、もちろん彼はそんなものチリほどにも気にしていない
「やあやあおぜうさん♪」
 上機嫌で道行く女性に声をかけるピエール。しかしその反応は、

「いやー助けてーおかーさーん(T−T)」

か、

「あうあうあうあうあうあう(T−T)」

のどちらかが大半だった。残りの一握りはシカトされたり殴られたりした。
「俺の何がいけないのかなぼんじゅーる」
 首を傾げるピエール。
 その格好だ。気づかんのか?
「まあいいさ・・・」
 気を取りなおしてスキップすきっぷ。
 らららん
 らららん
 おれは粋なないすがい☆
 らららん
 らららん
 究極超人ぴえーるさ☆
 らららん
 らららん・・・。

 ぴたっ

 不意にピエールの足が止まる。

たーげっと発見!

 きゅぴーん

 ピエールの目が怪しく光る!
 その視線の先には・・・。
「ああ〜んバイトに送れちゃう〜」
 とてとてと走る触角娘・・・もとい雛山りおっち。
 どうやら彼女はバイトに行く途中のようだ。
 ざっ
 彼女の前に立ちふさがる怪しい黒い影!
「ぼんじゅ〜〜〜〜るおぜうさんンンンンンンンン♪」
 優雅に一例するピエール。
「一緒にブレイカーズリベンジしませんかぁ〜〜〜〜? ぼんじゅーる」
「あああああああああの」
 いきなりの事にどう反応すればいいのか戸惑うりおっち。
 たすけてーおとーさんおかーさんりおはとてもよいこですぅー。
 だからわたしをみて・・・じゃなくてぷりーずへるぷみー(T−T)
 しかし思うように体が動かない。あやややややや。
「さあ、おどりましょうろーざとれいんンンンンン!」
 いきなりくるくるぴえーる。
「ろーざとれいんンンンンンンンンン!!」
「きゃーいやーおかーさーん!!!」
 りおっち大ピンチ!

 

 

 セリオはそれを持ち、ゆっくりと構える。
 目標を真っ直ぐに−ひたすら真っ直ぐに見つめ、それを持った右手を後に引き絞る。
 その身は自然と半身の態勢となった。
 まさしく、それは槍の投擲態勢だった。
「目標捕捉」
 セリオのカメラ・アイに映るピエールの姿。
「座標修正」
 少しづつ態勢を整え・・・。
「投擲態勢移項完了。カウントダウン開始。10、9、8、7・・・」
 すうっと面を上げ、天を仰ぐ瞳。
「3、2、1・・・発射」
 渾身の力を込めて、放たれるもっぷ

 ごうっ

 唸りを上げ空を裂き、敵に向かって突き進む!

 

 

「ささ、いっしょにぼんじゅーる」
 しつこくりおっちにモーションをかける(?)ピエール。
「あうあうあうあうあうたすけて〜たすけて〜」
 叫ぶりおっち。
 りおっちは思った。
 かみさまわたしはとってもよいこですだからたすけてよよよよよよ〜と。
 彼女は生まれて始めて本気で祈った。

 きらんっ

 がすう

「おうちっ!?」
 いきなり倒れるピエール。
 そのこう後頭部には見事にもっぷが突き刺さっていた。
「あうあうあうあうあう」
 何事? またもぱにくるりおっち。
 もしかして天に私の願いが通じたの? わーいわーい。
「さ・・・さよなら〜〜〜〜」
 一目散に逃げるりおっち。
「ふ・・・恥ずかしがり屋さんだね君は・・・げふっ!」
 だらだらと頭から血を流しながらもピエールは匍匐前進でりおっちを追う。
 しかし・・・。

 がすう

 再び降ってくるっもっぷ。
「あぐあっ!」

 がすがすがすがすう

 降り注ぐもっぷの雨。
「・・・・・・・・ぱたっ、きう(T−T)」
 ぴえーる、沈黙。

 

 

「目標沈黙・・・作戦終了」
 ピエールが完全に動かなくなったのを確認する。
「これより帰還します」
 セリオは自分に与えられた仕事が終了したので、回れ右!をして帰還しようとした。
 しかぁし!

 ばんっ(ドアの開く音)

 だだだだだだだだだだ(走る音)

かえるなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ

 どげしぃ!(ツッコミ音)

 セリオの後頭部に決まる綾香の華麗な跳び蹴り。
 ぐるぐるぐる〜ときりもみ吹っ飛び状態のセリオ。
 ぐわらがらがしーんとフェンスに激突した。
「・・・・・・痛いですぅ」
 ちょっと涙目になってセリオは抗議する。
 しかし当の綾香はそんなことはアウトオブ眼中な態度で・・・というか、さらにセリオを責めるように言葉を投げかけた。あう。
「そりゃあ、貴方が悪い子ちゃんだからよ!」
 その言葉にセリオは小首を傾げる。
「何か問題点がありましたか?」
「大有りよ。解らない?」
「・・・皆目見当もつきません。私は指示通り『目標を殲滅』しましたけど・・・」
「いいこと、セリオ。貴方は悪と戦う正義(?)のヒロインなのよ!
 正義の味方なの。
 スーパーヒロインなの!
 だから、

 名乗りも上げずに遠くから狙撃するような事をしてはいけないの! それは正義の味方として行ってはいけない行動よ! いい、ヒロイン(もちろんヒーローも)というものは堂々と敵の前に姿を見せ、敵に対して名乗りをあげ、敵を正々堂々と撃退しなければいけないわ!

 ・・・おわかり?」
 びしい!と指を突きつけながら綾香が力説する。
「は、はい」
 そしてそんな綾香の迫力に押されまくるセリオ。
「まあいいわ。私が今からお手本というものを見せてあげる! 貴方はここで見ていなさい。わかった?」

 

 

「ふう、ひどい目にあったよぼんじゅ〜る(T−T)」
 そのころピエールはやっとダメージが回復したところだった。
 ゴキブリ並の回復力だ。
 頭の中身もゴキブリ並なのでさっきまでのことはきれいさっぱり忘れている。
 おめでたい男だ。ま、ピエールだしぃ。
「さて気を取りなおしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇン・・・・・・」

 ひるるるるるるるるる

「・・・?」
 上空からの異音に嫌な予感がするピエール。

 どがん!

 ピエールの前方に降ってくる怪しい影!
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
 その正体はもちろん綾香だ。
 ちなみに綾香の足元にはかなり激しくひびが入っているのだが、綾香はいたって平気そうだ。伊達にエクストリームの女王をやってるわけではないらしい。
「変態的な格好と妖しげな言動で街の人々を惑わせ恐怖に陥れてるそこのバカ! この私が来たからには貴方の思い通りにはさせないわ!」
「なななな、何者!?」
 お約束な言葉で答えを返してくれる。この時点で彼は悪人に大決定
「私!? 私は・・・愛と正義と来栖川とその他もろもろの味方、通りすがりの格闘女王・・・人は私を『グラップラー綾香』と呼ぶわ! ・・・悪の変態男、貴方の命運もこれまでよ! 覚悟しなさい!」
 (決まった・・・)
 自分で述べた口上にちょっと感動してしまう綾香。
「さあ、行くわよ!!!」
「こ・・・」
 何かを言おうとしたピエールだったが、
「問答無用!」
 一瞬にして綾香に間合いを詰められせりふを言う暇が無い。
うりゃっ!

 ごすう

 見事に決まる綾香のぱちき。
「あうあうあう〜」
 ぷすぷすと額から煙を出しながら倒れるピエール。
「ふ・・・正義の前に悪は無力・・・これに懲りたらもう二度とこんな真似はしないことね。次は・・・
 殺るから(はぁと)」
 可愛らしい笑顔で極悪なことを言っている。
「でわっ!」
 綾香はダッシュでその場を離れる。後に残されたのは・・・。
「ぼんじゅーる・・・ぽんじゅーす」
 ・・・何も言うまい。

 

 

「どう? あれが正義よ!」
 胸を張りながら「へへ〜ん」といった感じの綾香。
「今日のところはまあ大目に見るけど、次からは貴方がやるのよ」
「はい、綾香さん」
「ちがうちがう」
 ちっちっち、と指を振る。
「今日からは私のことは師匠と呼びなさい。いいわね?」
「はい、師匠」
「感情がこもってな〜い」
「師匠・・・」
「もうちょっと!」
「師匠!」
「よっっっっっっしおっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 こうして「もっぷすとらいかぁ計画」は最初の一歩を踏み出した。
 しかし、セリオは正義のヒロイン呼ぶには程遠い。
 がんばれセリオ!
 負けるなセリオ!
 もっぷばとらぁを蹴落として、君が主役になるのだ!

 

つづく★

 

 ・・・そのころはせっちは。
「綾香お嬢様〜〜〜〜〜〜〜〜(T−T)」
 途中綾香に巻かれたため彼女を探して街中をさ迷っていたという・・・・・・。

 


 次回予告

 もっぷすとらいかぁとしての道を歩み始めた(歩まされ始めた?)せりお。
 しかし彼女にはヒロインとしての自覚が欠けているという大きな弱点が!
 いきなり大ピンチに陥るもっぷすとらいかぁ計画。
 綾香は彼女を立派なヒロインにするべく大特訓を開始した。

「休んでいる余裕はないわ! 次はこれよ!」
「はい、師匠」
 ガオガイガーのLDを取り出す綾香。
「貴方に欠けているもの・・・それは熱い正義の魂よ!」

 次回、もっぷすとらいかぁ★せりお

『目指せヒロイン一番星!!

 次回も大自然の部屋でもっぷすとらいかぁ計画に参加しよう!

「さて、次は何にしようかしら・・・(ニヤリ)」

 


あとがき対談第一回:べるぐVS綾香

綾香:ども〜始めまして大自然の部屋のみなさん。そして、もっぷばとらぁの読者の皆さんにはお久しぶり☆の綾     香です♪

べるぐ:何ネコ被ってんだよう。

 げし

綾香:さて、五月蝿いのが居なくなったところで・・・ここまで呼んでくださった方、本当にどうもありがとう! そこで     のびてる変なのもきっと喜んでいるわ。
    さてさて、この「もっぷすとらいかぁ★せりお」は18OべるぐのHPで公開されている「もっぷばとらぁ☆まるち」
    という作品の外伝になるお話よ。だからもっぷばとらぁを先に読んだ方が楽しめるかもね。
    ・・・・・・べるぐ、貴方も何か喋りなさいよ。

べるぐ:・・・・・・きう☆

綾香:(手加減したのに・・・貧弱ね)どうやらべるぐは夢の世界へ旅立ってしまったようね。
    あ、言い忘れてたけどべるぐっていうのはこの話を書いたバカよ。一応頭のすみっこに記憶しておいて。

せりお:綾香師匠、あの・・・。

 ごにょごにょごにょ

綾香:解ったわ、直ぐ行くから。私は急用が出来たのでこれで失礼するわ。
    それじゃ、次回もお楽しみに。 ばぁ〜い♪

 


春「あうう、本編だけでなく外伝までっ!!」
舞「しかも変わらないこのパワー……」
春「す……すごいの一言に尽きるぜ……畜生……」
舞「てなわけで、そこのあなたもレッツ・もっぷ!!」
春「何だ、それわ……」
舞「いや、何となく」
春「というわけで、180べるぐさんに感想メールを是非っ!」
舞「ど、どういうまとめ方だ……」

<続く>
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