へなちょこセリオものがたり

その101「刃物は不要」








「浩之さん」

「ん?」

 何だよセリオ、いきなり。
 おっ、真っ白いタンクトップにスパッツかぁ……いいな、それ(爆)。

「突然ですが、お命頂戴しマス」

「……はぁ?」

 まさかセリオ、俺の命を奪う為に放たれた『草』だったのか?
 って、そんなハズもないけど。

「お命頂戴って……殺すの、俺を?」

「ええ……それはもう力の限り♪」

 にこっ☆

 あ……何だ、本気で俺の生命活動を停止させようってわけじゃなさそうだ。
 なら別にいいや、ノってやろう。

「はっはっはぁ、俺を殺すだと? 面白いことを言う奴よのぅ……」

 マジ殺されたら敵わんから、俺に言えるのはここまでだ。
 必要以上に挑発したら、セリオは本気で俺をバラしかねないし(爆)。

「本気ですよ……参りますっ!」

 たたたっ!

 うわっ、本気っ!?
 って突っ込んで来るなぁぁぁぁ!

「ひぃぃ……って、あれ?」

 ……ぴたっ。

 身体を前傾させ、超力特攻モードに入ったかに見えたセリオだったが。
 俺の間近まで来たら、急に止まりやがって。

「浩之さんっ……」

「は、はひっ!?」

 ……ぽふっ。

「私を……浩之さんの色に染め上げてください……♪」

「お、おう……」 

「浩之さんになら、何をされてもいいんです……」

 ぎゅっ……。

「む、むぉぉぉ……」

 ……たらぁり。

 セリオの真っ白いタンクトップに垂れる、俺の鼻血。
 故意か否か、俺にぐりぐり押し付けられている彼女の胸にも……。

 もっ……最早我慢出来んッッ!

「せせせっ、セリオぉぉぉっ!」

 がばぁっ!

「……はい、浩之さんアウトです♪」

 ……はぁ?

「って……何が?」

「『殺し文句』ですよ……ふふふっ」

 あー……なるほど、そういうことか。
 見事に殺られちまったぜ、俺。

「……ま、それはそれとしてっ!」

 ひょい。

 俺はセリオを抱え上げ、今日はバスルームへ直行だっ!

「あららっ、そんな即物的な……」

「お前が悪いんだぞっ! 何も聞かん!」

「そっ、そんな〜♪」












 というわけで。
 殺られたお返しとばかりに、俺もセリオを何回か昇天させたのだった。






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