へなちょこセリオものがたり

その１０６「男の野望」

「あっ、あん、あぁん、あ――――っ……♪」

　びくっ、びくびく……っ。

「ふぅ……」

　へへへ……今日もセリオの奴、滅法可愛いでやんの。

「あっ……ああっ……」

　…………。
　何かさぁ、そういや今まで１回もしたコトなかったけど……。

　……ぐいっ。

「……浩之……さん？」

「なぁ……俺、まだだし」

　セリオの可愛いお尻を持ち上げ、ロックオン（爆）。
　っていうかこんなお尻見せられたら……なぁ？

「なっ……ひっ、浩之さんっ！？」

「お前達ばっかりじゃ、不公平だよな……なぁ、そう思わないか？」

「ああああああのっ、今狙っているトコロは違うかと……」

「いいんだよ、違ってて」

　俺は、今更セリオの抵抗など気にするつもりはなく。
　っていうか、俺もヤられたし。

　……ずぬ゛。

「ひぅっ！？」

　あ……結構すんなり入ったな。
　セリオので濡れてたし……っていうか、すっげぇイイぜぇ……！

「せっ、セリオぉ……っ」

　うぁっ……こ、この締め付けはっ……！

「嫌ぁ……止めっ……ああっ、浩之さぁん……嫌ぁ――――っ……！」

　ああっ、も……すごっ……。






「くすん……」

「……『己の欲せざるところ、他人に施すこと勿れ』だ」

「ううっ……そんなぁ……」

　……セリオに悪いことしちゃったかな……。
　いやでも、俺だって酷いことされたし（核爆）。

「……あ、マルチ……？」

「あっ……あうあうあうっ……」

　まるで……お漏らししたみたいに……。

「マルチ……お前も、俺にしたよなぁ……？」

　マルチは、ベッドの上に正座して待ってたけど。
　そのままくたくたっと、壁に寄りかかっていた。

「あうっ、あうううっ……」

　どうしたんだよ、そんなに怯えて……。
　一杯濡らしてるくせに、何だよ……？

「マルチ……恐くないから、おいで？」

「……はっ、はいっ」

　……何だか、恐がってるかな。

「マルチ……そんなに怯えないでくれよ。マルチのことが好きだからさ、お前
の初めては……俺が欲しいんだよ、何だってさ」

　ぎゅっ。

「はいっ……浩之さんなら、私っ……」

「準備、オッケーみたいだな」

「あっ……そのぅ……」

　俺はマルチが全部言い切る前に、覆い被さる。
　セリオので濡れてる俺の暴れん棒を、そのままマルチにこすり付けて……。

「あんっ、浩之さんっ……そんなに、そこはっ……」

「マルチっ……！」






「あ――――っ！　あぁっ、浩之さぁんっ！！」

「マルチ……マルチぃっ！！」

　せっ……セリオもよかったけど、マルチのは……もっと……っ！！
　俺、もうっ……。

「まっ、マルチぃっ！」

「あっ、ああっ……ひぅっ……浩之さぁん！」

　びくっ……びくくっ……。

　はぁ、はぁ、はぁ……。

「す、すごいな……コレ、癖になりそ……」

「はっ……ぅんっ……あはぁっ、浩之さぁん……っ」

　ぎゅ……。

　俺は、背中からマルチを抱きしめ。
　いつもとは違う感覚に溺れながら、マルチに口付けして。

「まっ、マルチぃ……すっげぇ、よかったぜ……」

「あぁんっ、浩之さぁん……素敵ですぅ……」

　コレがこんなに気持ちいいなんて……。
　マルチも、何か気に入ってくれたしっ！

「……んっ、あはぁっ……ちょっと、いけないコトをしてる気分ですぅ……」

「へへへ……マルチは、いけない子なんだよ……」






「…………」

　ずーん。

「……ん？」

「ひっ、浩之さぁん……もっと、キスしてくださぁい……♪」

　何か妙な迫力を感じたけど。
　でもマルチの甘えた声には、何者も邪魔など出来ないわけで。

「ん？　ああ、好きなだけしてやるよ」

　ちゅ、ちゅっ……。

「んんっ……浩之さぁん……♪」

　マルチ……こんなことしちゃったのに、それでもまだ……。
　ああ、マルチが愛おしい……何て可愛いんだっ……！

「……浩之さん」

「ん？　……セリオっっ！？」

　しまった、忘れてたっ！！
　っていうか……。

「うふふふふふ……」

「せ、セリオ……」

　俺が、恐る恐る振り向くと。

「その……腰のものは、一体……？」

「うふふふふふっ……『己の欲せざるところ、他人に施すこと勿れ』デス」

「あ……あああああっ！！」

　甦る、暗黒の記憶。
　それは、忌まわしい記憶……。

「せ、セリオ……俺が悪かったっ！　もうしないから、許してくれぇぇ！！」

「…………」

　えーと。
　……何故、考え込む？

「……では、やはり私はタチになりたく思います」

「なっ、何でっ！？」

　謝ったのにっ！
　何でっ？　もしかしてセリオって、そーいうのがモロ趣味っ！？

「な……何故と言われましても（ぽっ）」

「……もしかして、気に入ったの？」

　嫌じゃないコトなら、他人に施すってーことで……。

「…………」

　……こくん。

「おっ、お前っ！　さっき『嫌ぁぁぁ！』とか叫んでたくせにっ！！」

　っていうか俺を堀るのは勘弁してくれぇ！

「嫌だったのは……嫌じゃなかったコト、なのデス……（ぽっ）」

「……はぁ？」

　そ、それって……。
　本当に気に入ってるよ、をい……。

「で、ですからっ！」

　ずずずいっ。

　なななな何が『ですから』だよっ？
　つーか俺か？　俺じゃなきゃ駄目なのかっ！？

「うっ、うわぁぁぁっ！」

　俺は、慌てて逃げようとしたけれど。

「あふっ……やぁぁん、浩之さぁん……まだ離れちゃ嫌ですぅ……」

　思いがけず聞こえた、甘い声。
　俺を求めるマルチの声に、俺はついつい無意識に応えてしまっていて。

「……おうさ」






　俺が自分の馬鹿さ加減を再認識したのは、その数秒後のことだった。