へなちょこセリオものがたり

その108「学園天国っ」








「ただいまぁ」

 がちゃっ……。

「お帰りなさいませ、浩之さん」

 玄関先に、三つ指立ててセリオさん。
 セーラー服に、ポニーテール……まとった雰囲気すら、違って見えた。

「お、おう……ただいま、セリオ」

 ぬぅ、いつもは寺女の制服姿しか見てないからなぁ……。
 すっげぇ新鮮でいいぜっ(ぐっ)!

「お? ところでそのセーラー服……妙に古臭く見えるけど……」

 何か色あせてる感じだ。

「あら……よく気が付かれましたね、来栖川歴史保存館よりお借りして参った
ものデス」

 うーむ……なかなかイイな、これ……うちの学校のと違うのって久々に見た。
 そして前開きっ……ううむ、たまらん。

「なぁ、セリオ……今日はソレで……」

 おっ、俺も丁度ガクランだしっ!

「いえ……コレは汚すわけには参りませんので」

「なっ、それなら何でそんな格好してるんだよ?」

 ぬううう、糠喜びさせやがってぇぇぇ!

「じゃ、じゃあ汚さないようにするからっ」

「駄目デス……浩之さん、そう言っていつもいつも……」

「ううっ、言い返せないぜ」

 たまに破いちゃったりするし(爆)。

「と、いうわけで」

「へ?」

「あ〜れ〜っ、お助けぇ〜っ!」

 なななっ、何だっ!?

「むーっ、私の女に手を出すのは誰ですかーっ?」

 からん、ころん、からん……。

「……マルチか……?」

「番長っ!」

「いかにも、私がロボ番長なのですぅ」

 ろっ、ロボ番長っ!?

「番長っ、この人が私を無理矢理テゴメにしようとしてっ」

 まだしてないっつーの。

「むむむっ、それはけしからんのですう」

「……それはいいけどマルチ、家の中で下駄なんか履くな」

 ツバのとこがぼさぼさな学生帽なんか被ってないでさぁ。
 っていうか何だよ、その妙にだぼだぼなズボンや馬鹿でかいガクランは。

 ……あれが噂に聞く『長ラン』なのか?
 マルチ、後ろに引きずってるぞ……。

「あやや、すみません〜」

 ごそごそっと、マルチは慌てて下駄を脱ぎ。
 ……やたらと素直な番長だな。






 ……ぺたんっ。

「さぁ、私の女を返すのですー!」

 裸足で1歩踏み出し、高らかに叫ぶマルチ。

「セリオ、今回はそういう話なの?」

「……ええ。マルチさんが番長、私がその彼女。浩之さんはその美しい彼女を
狙う謎の転校生という設定デス」

 なるほど。
 っていうか古臭い設定だな、をい。

 何だよその番長とか謎の転校生とか……っていうか自分で美しいとか言うな。

「んーと……じゃあ番長、こいつを賭けて決闘だっ!」

「はぅっ!? ……えーと、セリオさぁん……台本にないですぅ……」

「アドリブでどうぞ」

 つーん。

 つ、冷たい奴だなぁ……どうせ自分からやろうって言い出したくせによう。

「あうあうあー……ひっ、浩之さぁん……決闘なのですかー?」

「だって、そうなんじゃないの? 話の流れから言って」

「あ、あうあうあう」

 見た目びくびくしてるし。

 俺はセリオをその場に残したまま、マルチの傍まで歩み寄って。

「番長さんよぉ、こんなシケた帽子被って何のつもりなんだぁ?」

 ひょいっ。

「あっ、返してくださいぃ〜」

 ひょいっ、ひょいっ。

 俺が帽子を右へ動かすと、マルチは懸命に腕を伸ばしてそれを追う。
 左へ動かすと、やっぱりマルチもそれに倣って動いて。

「あうあう、いぢめっ子ですぅ〜」

 ……お、面白ぇ。
 何なんだよ、お前の言う番長ってのは。

「よっしゃマルチ、取って来ぉーいっ!」

 ぶんっ!

「ああっ! 借り物なのですぅーっ!」

 階段の上に、フリスビーのように帽子を投げた俺。
 当然、マルチもそれをぺたぺたと裸足で追いかけて行き……。

 ……下駄、やっぱり脱がせて正解だったな。
 あれで走ったりしたら、間違いなくコケていただろう。

「な、なかなかやりますネ」

 何がだよ。

「さて、今のうちに」

 長すぎるガクランが邪魔でしょうがないのか、階段を上るのに手間取ってる
マルチを眺めつつ。

「なっ……何がでしょうか?」

 冷や汗たらして……何となく感付いてるみたいだな、セリオ。

「そりゃやっぱり、セーラー服と言えばっ♪」

 ひょいっ。

「ああっ!?」

 俺はセリオを抱え上げ、そのまま靴を履き。
 何とかドアを開くと、庭へ向かって駆け出していた。






「ぷーっ! 浩之さんっ、ひどいのですぅ!」

 ぺたぺたぺた……。

「あ……あれれ? 浩之さんもセリオさんもいませんですぅ……」

 きょろきょろきょろ……。

「あれれ……?」












 がたんっ!

「もっ、物置などに連れて来て何をっ!?」

「へへへ……体育倉庫はないから、物置で我慢してくれよ」

 俺はガクランを脱ぎ捨てながら、セリオの頬をなでて。

「あっ……駄目ですっ、これは借り物……」

 しゅるり、と胸元のスカーフを抜き取り。
 セーラー服の前を開くと、白い下着が露わになって……。

「じゃ、止めるか?」

 俺の言葉に、頬を染めて俯く女学生。
 その頬に口付けしながら、隣に座り込む俺。

「へへへ……それじゃ、課外授業の始まり始まりぃ……」






 ふぁさっ……。

「へぇ、ちゃんと女学生してるんだ……白い下着が嬉しいねぇ」

 ゆっくりと上衣を脱ぎ捨てるセリオ。
 恥ずかしそうに、下着の前を隠していたり。

「んっ、浩之さんのご趣味に合わせて……」

 俺が親父趣味みたいじゃないか、それじゃ(←自覚なし)。

「ハイソックスまで……研究したな、セリオ」

 膝下まですらっと履いたハイソックス。
 当然真っ白、目に眩しいぜ。

「ええ、喜んでいただけましたか?」

「馬鹿、俺が喜ぶのはこれからだよ」

 っていうかお前も一緒にな。

 俺は正面からセリオを抱きしめ、背中に手を回す。
 つぅ、とブラの筋をなぞってホックを探し当てて。

「外すぞ、セリオ」

「はっ、はい……」

 ぷちん……。

 俺にその様を見せまいとしているのか、俺の首にぎゅっとしがみ付く。
 それが逆に、セリオの真っ白い背筋を俺によく見せる形になって。

「セリオ、綺麗な背中だな」

 つつつつぅ……。

「あんっ」

 ぴくんと仰け反った拍子に、俺の首を絞め付けていた力が弱まって。
 すでに外れかけていたブラの肩紐が、するりと肘のところまで落ちる。

 ふるんっ……。

「へーへへっ、セリオの見えちゃった」

「あっ、やんっ……」

 慌てて隠そうとするが、もう遅い。
 セリオの腕が動くより早く、俺の唇がセリオの胸の先端を覆い隠す。

 ぺろ、ぺろ、ぴちゃっ……。

「はっ……あん、ふぅっ……」

「セリオ、ちょっと固くなってるぞ? ココ」

「駄目……言わないでくださいっ」

 ぎゅう……。

 彼女が腕に力を込めると、抱かれていた俺の頭が更に胸に押し付けられる形
になって。

「ふぎゅっ……苦しい……」

「あ……ごめんなさい」

「いや、そのままでいいぞ」

 苦しいけど気持ちいいから。

 俺の舌が動く度に、セリオは小さく声を上げ。
 それを聞きながら、空いてる両手が彼女の腰へと動いて行き……。

「手ぇ入れるぞ、セリオ?」

「はっ、はいっ」

 俺は片手で彼女を抱き支え、もう一方の手で器用にパンティを脱がそうと。
 長いスカート、中身は見えず……セリオのすべすべした脚をガイド代わりに、
目的の場所に辿り着く。

「あれ……セリオ、お漏らしでもしたか?」

「やだっ……また、そんなことを……」

「だってほら、こんなに……」

「そっ、それはぁ……」

 一度スカートから手を引き抜き、濡れた指先をセリオの目の前に突き付ける。
 恥ずかしそうに目を伏せる彼女を俺は満足な気分で眺め、その指をぺろっと
舐めて見せ。

「なっ……舐めるなんてぇ……」

 恨めしそうな視線も、心地よく感じる。
 
「何だよ、美味いぜ?」

 軽く笑いながら、俺の手は再びセリオのスカートの中へ。

 セリオは俺を睨み付けようとしたのだが、それも出来なくなって。
 一瞬視線が厳しくなったが、すぐに切なそうな目付きに変わったのだった。

 指を動かす度に響く水音……それにセリオの声が重なり、甘美な和音として
俺の耳に届く。

「準備、もういいかな?」

 先程脱ぎ捨てたガクランを床に敷き、セリオを横たわらせて。
 両膝を立てさせると、俺はゆっくりとスカートの中に頭を入れて行き。

「うお、真っ暗だぁ……セリオ、変なトコ触ったりしたらごめんな」

「やっ……そんなっ……」

 すべすべした脚に、思わず頬ずり。
 そんなことですら、セリオは嬉しそうに身をよじらせる。
 そして、脚の付け根付近に到着……。

 おおよその当たりを付け、舌を這わせる俺。
 スカートの上から頭が押さえられ、そして柔らかい脚に両側から挟まれ。

 ぴちゃ、ぴちゃっ……。

「はっ……うんっ、駄目ですっ……」

 パンティの上からしばらく舐めた上、布地を少し脇にずらして再び舌を入れ。

 つぬっ……。

「ひゃぅっ!?」

 今度は中にまで舌を入れると……先程までよりセリオの反応も大きくなり、
俺は面白がって更に大きく舌を動かす。

「あっ、あぅ、あっ、あんっ……ひぅっ!」

 小さな珠の部分を責めると、一際大きく腰が跳ねて。
 そ、そろそろ俺も……。

 ぴちゅっ……。

 舌を抜く際にも、水音。
 ぴくっと動いたセリオの脚をなでてやると、やはり甘い声を漏らす。

「あっ……あ……」

「セリオ、腰浮かせて」

「……はい……」

 するっ……。

 真っ暗な中、スカートの裾から入る薄暗い光を頼りに。
 パンティの両側に手をかけて、するすると引き下ろす俺。

 スカートの中から身体を出しながら、セリオの足先までそれを引き下ろすと
……片足だけ抜いて、残った方に1回くるっとねじってから引っかける。

 ……うむ、下準備は完了だ。

「さて……そんじゃ、家の中に戻ろうか」

 口元を手の甲で拭きながら、セリオに言う。

「……ええっ!?」

「いやぁ……慣れないところでしてると疲れちゃったぜ。俺の部屋に行って、
ベッドでしようぜ」

「そんな……意地悪しないでくださいっ……」

 スカートの下、両脚をもじもじとさせているセリオ。
 その脚をさすりながら、俺はまた意地の悪いことを言ってみたりする。

「少しくらい我慢出来ないのか……じゃあ、セリオがしてくれるか?」

「えっ……?」

「ほら、俺はここで横になってるからさ。それをどうしようと、お前の勝手と
いうことで」

 セリオの身を引き起こし、代わりに俺が横になる。

「ほら……それとも、やっぱり戻るか?」

「は、はい……わかりました、浩之さん……」

 かちゃ、かちゃっ……。

 ベルトのバックルを外す音。
 手馴れた手付きでズボンを引き下ろすと、そこで手が止まる。

「ん?」

「あっ、あのっ……やはり、私が……?」

「俺がするんなら部屋に戻るけど……お前、今すぐしたいんだろ?」

 にやにやしながら言った俺に、泣きそうになりながらも頷いて肯定の意思を
伝えるセリオ。

「じゃ、続けて」

「はいっ……」

 彼女の手が、そっと俺のトランクスにかかり。
 そしてそれがゆっくり引き下ろされると、天を突いてそびえる俺の暴れん棒。

「あっ……」

 一瞬手で顔を隠したけど、指の間から覗いているのがバレバレだぞ。

「さぁ、セリオ……気持ちよくなってくれよ?」

「はい……浩之さんも……」

 少しだけスカートをたくし上げて、俺の身体をまたぐセリオ。
 そして膝立ちになると、ゆっくりと腰を落として来て。

「セリオ……最初だけでいいから、スカートをまくっておいてくれ」

「……はい」

 スカートの前の部分が、セリオの手によって手繰り寄せられて。
 俺が無言で頷くと、再びセリオの腰が落ちてくる。

 セリオに触れる直前で、そっとセリオの手が添えられて……。

 ちゅくっ……。

「ふぁ……ああっ……」

「ほら、セリオ……一気に来いよ」

 ちゃぴっ……。

「あっ……はぁっ、ああんっ!」












「はぁっ……んっ……」

 うをを、耳元に熱い溜め息吐かんでくれ。

「制服、汚さなかっただろ?」

「ええ……上着は……」

 下は履いたまんまだったもんな(ニヤリ)。

「スカートで隠れて肝心なトコが見えないってのも、何かいやらしかったなぁ」

「も、もう……浩之さんはえっちですネ」

 へっ、お前もな。

 セリオには俺のガクランを羽織らせ、お姫様抱っこ。
 すっかり力が抜けてしまったセリオだったが、それでも俺にしがみ付くのは
忘れていない。

「可愛かったぜ、セリオ」

 ちゅ☆

 首筋に抱き着かれながら玄関に戻った俺だったが。

「ぐすっ、ぐすっ……」

「ま、マルチっ!?」

「あら……そういえば」

 忘れてたぜ。
 つーか、何で物置の騒ぎ(爆)に気付かねぇんだよ。

「浩之さん、私はこれを洗って来ますから……」

「お、おう」

 とんっ……とたたたた……。






「ま、マルチぃ」

「あうぅ、ぐすっ……浩之さぁん……」

 可愛そうに、肩をがたがた震わせて。
 俺がその肩を抱いてやると、帽子を落とす程の勢いで俺の胸にすがり付いて
来て。

「ふっ、2人ともいなくなっちゃって……私、1人きりになっちゃってっ……」

「……ごめん、マルチ……」

 ぎゅ。

「お帽子取って戻って来たら、浩之さんもセリオさんもぉ……」

 しくしくと泣き続けるマルチ。
 俺のシャツの胸元は、どんどん湿って行く。

「寂しかったんですぅ……」

「俺が悪かったよ……もう大丈夫だからさ、ほら」

 ぺろっと涙を舐めてやると、ちょっと嬉しそうな声を上げるマルチ。

 ったく、こいつは……本当、単純で寂しがり屋で泣き虫で……可愛い奴。

「ううっ、寂しかった分もおまけしてくださいー」

「うんうん、任せろって」

 と、俺はマルチを抱き上げつつ……あることに気付いた。

「あ……あのさぁ」

「うみゅ?」

 きょとんと俺を見上げ、不思議そうなマルチ。
 ああっ……ガクラン着てるんだってばよ……でもでもっ……。

「いや、問題ない……と思う」

 一瞬奴の顔が浮かんだが、速攻で忘却の彼方へと追いやって。
 つーか大丈夫だ、だってマルチなんだからっ。

「さしづめ……男子校の禁じられた愛って感じかな」

「はう? 何だかいつもより息が荒いですよ、浩之さん?」

「いや……何つーか」

 は、背徳のかほり……。

「ま、マルチ……ガクラン、汚れたりしても大丈夫かな……?」

「ほえ? はい、丸洗いおっけーですぅ」

 保存館がどうこうっつーのはいいのだろうか。
 いや、マルチがいいって言ってるんだし。

「じゃじゃじゃじゃあ、早速ゴーっ!」

「ほえええええっ!?」

 だだだだだっ!












「はぁ、はぁ、はぁ……すっごかったのですぅ……」

 ベッドの端に腰かけた俺の手を、ぎゅっと握って満足気。
 対して俺は、すっげぇ後ろめたさに襲われていた。

「あっ……ん、大好きですぅ」

「お、俺って奴は……」

 おっ、男同士ってこんな感じなのかな……いやいや、何を考えてるんだ俺っ!
 マルチは可愛いんだよ! だからガクラン着ててもいいんだよ(←違う)!

「私の負けですぅ……さわやか番長の称号は、浩之さんのものですー」

 今のが決闘だったのかよ。
 つーかお前、ロボ番長じゃなかったんかい。

「そんなダサい称号はいらん」

「あうう、そんなぁ」

 せめて銀河番長辺りにしといてくれい。
 とか何とか思いながら、やっぱりガクランは脱がせておこうと思って。

 とりあえず、ぺた胸を隠したままのサラシから解きにかかる俺なのだった。






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