へなちょこセリオものがたり

その125「冷た〜い」








「ふぅ、はぁ……」

「今日はよく頑張ったな、マルチ」

 ベッドの上で抱き合いつつ、マルチの頭をなでてやる俺。

「はーいっ、頑張ったのですぅ☆」

 ……と。
 そろそろセリオの方も可愛がってあげないとなぁ。

「セリオ……とりあえず、何か冷たいものくれないか?」

「……私のお相手は、いつになったらしていただけるのですか?

「少し休んだら、次はお前だからな……覚悟しておけよ?」

「……はい」

 返事はしたものの、へそを曲げているのか……その場から一向に動こうとは
しないセリオ。
 不審に思った俺が、彼女の顔を覗き込んで見ると。
 
「…………」

 ぎんっ!

 う、うぉっ!?

「浩之さん……如何ですか? 冷たいモノ」

 そう言うセリオの表情は、凍り付いたかのように冷たい雰囲気を放っていた。

「つ、冷たいって……?」

「すぐに私の順番というお約束でしたのに……」

 俺は、背中にぞくりとした寒気を感じる。
 俺を見るセリオの眼差しは……氷のように、冷たい視線。

 そう、それが『冷たいモノ』。
 背筋を冷や汗が伝っていく感覚を感じながら、それでも何とか平静を保とう
とする俺。

「あ、あのさ……冷たいものって言ったら、普通はカ○ピスとかカルピ○とか
○ルピスとかじゃないか?」

「あら? 私は浩之さんの言われるままに、『冷たいモノ』をお届けした次第
ですが?」

 ……いじけてる。
 セリオの奴、いじけてやがるよ……。

「……俺が悪かった。ほら、来いよ……約束は守るからさ」

「……はい♪」






 とゆーわけで。
 冷たいセリオさんを、一生懸命暖めてあげる俺なのだった。






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