へなちょこセリオものがたり

その134「まきまき」








「浩之さん、豆まきの用意が出来ました」

 虎縞ビキニを身に着けたセリオが、お尻ふりふりやって来た。
 思わず伸ばした手をぺちんと叩かれながら、俺は立ち上がる。

「おうよ、お前が鬼の役か」

「ええ」

 この分じゃ、マルチも虎縞ビキニっぽいな。
 ちょっと楽しみだ。

「それでは居間の方へ」

「おう」

 セリオの後ろ姿を眺めながら、俺は居間へ向かった。






「浩之さん、お待ちしてましたっ☆」

 予想通り、マルチも虎縞ビキニを着ていた。
 ところで版権とか大丈夫なのか、お前ら。

「私達が鬼役になりますから、浩之さんは豆を投げてくださいネ」

 ぽん、と小さな箱を手渡すセリオ。
 その中身を見て、俺は硬直した。

「……おひ」

 中に入っていたのは、納豆。
 しかも引き割り。

「浩之さん、何か?」

「…………」

 にこにこ笑顔のセリオ。
 俺は無言のまま、ご希望通りに納豆を投げ付けてやることにした。

「うりゃ」

 にちゃー。

「ひぃ、ボケを素で返すなんて邪道なっ」

 胸元にべっとり納豆をかけられて、セリオは泣きそうな顔になって。
 これでもかとばかりに、俺はその納豆をでろでろと塗り広げてやる。

「うりゃうりゃ、どうだっ」

 ぬるんぬるんと手を動かしていたら。
 虎縞ビキニのブラの中に、手が滑り込んでしまい。

「ひぁっ」

「……む」

 引き割り納豆の感触に混ざって、小さな丸い粒のような手触り。
 こ、これは正しくっ!

「豆発見!」

「あんっ、それは違いマスっ」

 くりくりとその豆粒を指先で転がしていると、セリオが甘ったるい声を出す。
 ぬるぬるふにふにとした感触で、何かローションでも使っているような気分
だった。

「へっへっへ、下らないギャグをかまそうとするからだぜ」

「あっ、ああっ……」

 最早こうなっては、ヤってしまわないわけには行くまい。
 そんなわけでセリオのブラを取り、その胸を口に含もうとしたが。

「……うぁ、納豆臭いからやっぱパス」

「がびーん」

 セリオの身体を突き放して、そして今までの光景を眺めていたマルチを呼び
寄せる。

「マルチ〜、この俺の込み上げる衝動を何とかしてくれぇ」

 俺は笑顔で来い来い、と手招きしたのだが。

「……浩之さんも納豆くちゃいのですぅ」

「がびーん」

 たたたたた、とマルチは走り去って行く。
 俺とセリオは、とほほな顔を見合わせて。

「……風呂、入って来ようか……」

「はい……」

 そして、一生懸命納豆を洗い落としたのだった。






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