へなちょこセリオものがたり
その140「出発進行」
「電車ー、電車ー♪ しゅっぽしゅぽー♪」
「お前ら何やってるよ?」
居間がわいわい騒がしいな、と中を覗いてみると。
マルチとセリオが2人、電車ごっこに精を出していた。
「ええ、マルチさんのお守りを」
「あー、そんな言い方はひっどいのですぅー!」
「ははは」
見ればわかるが、その通りであろう。
「浩之さんも如何ですか?」
「おう、車掌は俺な」
「はい」
「しゅっぽー、しゅっぽー♪」
テーブルの周りを歩き回る俺達。
マルチだけが心底楽しんでいる模様。
そして、何周か回った辺りで俺は。
「それではお客様、乗車券を拝見させていただきます」
「「え?」」
焦るマルチとセリオ。
「さぁさぁ」
「そ、そう言われましても……」
「まさかお客様、キセルですか?」
勿論、切符などは発券していない。
「いえ、あの……」
目に見えてうろたえるセリオに対し、マルチはにぱりんと笑い。
そろそろとパンティを脱ぎ、俺に手渡した。
「はい、切符ですぅ♪」
さすがはマルチ、俺と言う人間をよくわかっている。
「え? え?」
脱ぎ立てほやほやのパンティを頭から被り、俺様ご満悦。
そしてセリオはと言うと。
「あの、浩之さん……?」
「お客様、切符がないのなら途中下車してもらいましょうか」
「そ、そんなっ」
俺はセリオを抱き上げ、ソファーに放り投げ。
「んじゃ1名様ご案内だぜ!」
「はいっ♪」
しゅっぽー、しゅっぽーと俺達は再びテーブルの周りを回る。
セリオはしばらく放心していたが、気を取り直して立ち上がり。
「あ、あの」
「ん?」
「私も切符を……」
するり。
「うひょう、お2人様ご案内〜!」
そしてセリオのパンティも頭に被る俺。
ほやほやパンティ2段重ね、俺にはもう怖いものはない。
セリオをロープの輪っかの中に入れてやり、そして進路は階段へ。
「天国……行ってみたいだろ?」
「「はいっ☆」」
そんなわけで、車掌さんは大張りきりで自室へと向かったのでした。
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