へなちょこセリオものがたり

その142「ふぇち」








「はぁ、はぁ……セリオ……」

 今夜も3人の宴は行われていた。
 マルチは既に気を失って脱落し、今はセリオだけが俺の相手だ。

「んっ、浩之さん……」

 首筋に回された腕から、セリオの想いが伝わって来る。
 苦おしい程に愛しい、折れる程に抱きしめたい。

 それは、俺と同じ気持ち。

「セリオ、もっ……もうっ」

「だっ、出してくださいっ……浩之さんのお好きなところにっ」

 セリオも絶頂を迎える寸前。
 ラストスパートとばかりに、俺の腰は速度を増して動き。

「あっ、ああーっ!」

「うっ……」

 セリオが気をやってしまうと同時に、俺はセリオから自分自身を抜き出す。
 そして、その欲望を……想いのたけを、セリオに向かって解き放った。

 どくん、どくっ、どくっ……。

 飛び散る白濁液。
 セリオはうっとりした表情でそれを受け止め……ようとして。

「……浩之さん?」

「はぁ、はぁ……何だ?」

 俺は満足感と達成感に包まれながら、ティッシュの箱に手を伸ばしていた。

「……何故に耳カバーに?」

 ぢゃきん。

「いや、好きなところにって……」

 セリオは、何だか危な気なモノを構えていて。

「だからって――――!」

「ひぃ!」

 ……しゅばっ。






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