へなちょこセリオものがたり

その23「はいぱ〜・てんしょん☆」








「ぱらぱぱー、ぱらぱぱー、っぱっぱらっぱらっぱ♪」

「ん? 今日もご機嫌だなぁ」

「はいー! 昨夜の浩之さんのおかげで、やる気ばっちりですぅ☆」

 俺の味噌汁を用意しながら。
 ふ……お前達のおかげで、俺の元気はすっからかんだけどな……。

「また……お願いしますねっ」

 ぽっ。

「あ、ああ……」

 しまった、あれが癖になったら俺の身が持たないぞ。

「ぱらぱぱー、ぱらぱぱー、っぱっぱらっぱらっぱ♪」

「ぬおっ、セリオ!?」

 そういやいないなぁと思っていたが。
 セリオまでもが、ご機嫌らしい。

「セリオも朝からテンション高いなぁ」

「ぱっぱらっぱ〜、ぱらら〜らら〜ら〜♪」

 ……聞いちゃいねぇ。
 っていうか、何故にマルチと同じ曲をっ!?

「あの、浩之さ……」

「ぱ〜らららっ、ぱらららーらーっ♪」

「ああああ、うるさいぞセリオっ」

 むぅ、この調子ではマルチとの会話すらままならない。
 ……ヤるか。

「……ぼそぼそっ」

「…………」

 にへぇ……。

 ちょっと妙な笑いを浮かべたセリオ。
 その頬は緩みきっていて、いつものきりっとした面影はどこにもない。

 ぼっ……ぶしゅーっ!

「あうう、目標の沈黙を確認ですぅ」

「ふぅ、やれやれ」

「……何て言ったんですかー?」

「そうだな……マルチも聞きたいか? 昨夜のアレの、俺の感想を」

「あ、あうぅ……聞きたいといえば聞きたいのですが、今聞いたらきっと学校
に間に合わなくなっちゃいますぅ」

 ふむふむ。
 なら、帰って来てから落ちてもらうことにしようか。

「学校から帰って来たら、是非お願いしますっ」

 ぽっ。

「おう」

 ……って。
 学校!?

「マズい! 早くセリオを起こせ!」

「あうう、自動復帰するまでは何も出来ないんですぅ」

「しぃまったぁ――――っ!」






 ……朝から響く、近所迷惑な俺の叫び。

 そんなことは露とも知らず、セリオだけが幸せそうな顔で横たわっているの
だった。






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