へなちょこセリオものがたり

その40「お飲み物はいかが?」








「……喉が乾いたなぁ、何か飲むか」

「あ、よろしかったら私が……何がよろしいですか?」

「お、悪いなセリオ。そうだな……適当に見繕ってくれ」

「了解」






 そして、2・3分後。
 ぼーっとマルチを膝の上に抱きながら、テレビの歌番組を眺めていた俺。

「……お待たせしました」

 お茶でも入れてくれたのかな、などと振り向いてみると。

「……それ、何?」

 セリオは、大き目のお盆を携えて。
 その上には、中身が見えないよう蓋をされた紙コップがいくつか並べられて
いた。

「『ロシアン・ルーレット』……ご存知ですよね?」

 にっこり。

 む、むぅ……知ってはいるけど。
 何故、喉が乾いただけでロシアン・ルーレット?

「醤油、酢、カルピ○、サラダ油……」

「おいおい、待て待てっ! そんな外れの方が多いようなの、やって堪るもん
か!」

「日本酒、青汁、私の蒸留水……以上をエントリーしまシタ」

 ……え?
 今、何て言った……?

「さ……さぁ、始めようか!」

「ええ、いつでも」

 にやり。






 ……結局、最後の1杯まで目当てのが当たらなかったでやんの。
 半ば意地になってたもんだから、全部が全部飲み干しちまって。

 うっぷ、気持ち悪い……。
 今度からは直接指定して頼むことにしよう。






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