へなちょこセリオものがたり

その67「ねこめ〜わく ふたたび」








「にゃおん」

 ぽにぽにぽにぽに……。

 真っ黒な猫耳とにくきうパーツ、そして黒の毛皮のレオタードを着た
セリオが俺の目の前を歩いている。
 っていうか……そんな悩ましげな格好のまま、先程から何往復もして
いやがる。

 あえてシカトしてみようかとも思ったが、何か面白そうなので聞いて
みることにした。

「セリオ……その格好は一体?」

「うふふふふ……黒猫に前を横切られるのは、不吉なこと……」

「…………」

 何だよ、嬉しそうに。
 そんなに俺を不幸にしたいのか、こいつは?

「……フケツ?」

「……怒りますよ」

「悪い、冗談だ」






「っていうか……何かされる前にナニかする、ってのはアリ?」

「あら、ナニかって何ですか?」

 ふふっと、艶やかに微笑むセリオ。
 黒光りするレオタードのせいか、いつもより一層妖しく見える。

「セリオが不吉なのかどうか、確かめなきゃな」

「あら……どうやってお確かめになるので?」

 言いながら、セリオに段々近付いていく俺。
 セリオも逃げるでもなく、逆に俺を誘っているようにも見えるし。

「それは、今から考えるさ」

 とか言いつつ、セリオの胸に顔を埋めてみる俺。

 ぼふっ!

「うを、毛皮の感触とセリオの胸の感触とが相まって絶妙なハーモニー
を奏でているぜっ!」

「……感想は、もっと簡潔にお願いします」

「ふあふあのふにふにでもうさいこー」

「……すこぶるわかりやすいデス」

 ぎゅっ!

「もぶっ!?」

「浩之さん……喜んでいただけて、すごく嬉しいです……」

「お返しに、俺もセリオを喜ばせてあげたいなぁ」

 さわさわっ。

 セリオの柔らかな胸に埋もれながら、同じく柔らかなお尻やふともも
をなで触ってみたりして。

「……ありがとうございマス」

 そして、レオタードを脱ごうとするセリオの手を止め。
 俺はそのまま、セリオに口付けをプレゼント。

「毛皮の感触、セリオも一緒に堪能しようぜ?」

「は、はい……♪」












「……結構高いんですよ、コレ」

 ちょっと頬を膨らませながら言うセリオ。
 俺がかけて汚しちゃった(←何を!?(爆))辺りを、どうやって洗
おうかと思案しているらしい。
 勢いに流され、着たまましたことを後悔しているようにも見えたが。

 コトの最中は、にゃあにゃあ鳴いてすっごく喜んでたように見えたん
だけどなぁ……女心は、複雑極まりないぜ。

「お前が悪いんだって。お前にそんなもん目の前で着られて、この俺が
我慢出来るハズないだろ?」

「……それもそうですネ」

 セリオは、その俺の言葉をどう理解したのか。

「……今度、また着てあげマス」

「おう、楽しみにしてるぜ」

 頬を膨らませる代わりに、今度は淡く紅色に染め上げたセリオなので
あった。






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