へなちょこセリオものがたり

その94「祭りの夜 3」








 しゅうぅ〜……。

「うぁ……はっ!?」

 痛ててて。
 あ、まだ頭から煙が出てやがるぜ。

「……お目覚めになりましたか、浩之さん」

 おおう、セリオっ。
 まだタコ殴りしてくれる気かっ、このこのっ。

 ……とか考えながら、俺は全力で床を後ろ向きに這う。

 ずざざざざっ!

「も、もう……嫌ですね、浩之さん。もう叩かないですから……」

 照れたように笑い、手をぱたぱた。
 ……アレ、『叩く』なんて生易しい次元じゃなかったぞ……?

「『オラオラオラ』とか言って、妙にノリノリだったくせに……」

 時が止まったかと思ったぜ、ふぅ。

「だ、だって浩之さんが……」

 セリオはぎゅっと、おしぼりを握り締めて。
 それを見たら、自分の頭におしぼりが乗っかってることに気付いた俺。

「……冷やしてくれてたの?」

「は、はい。ご無事で何よりデス」

 自分でやっといて、何て言い草だい。
 ……まぁ、俺も調子に乗りすぎたんだけどさ。

「……マルチは?」

「お疲れだったようなので、先に休んでもらいました」

 そっか。

「じゃ、2人きりか」

「はい」

 すすすすす。

 セリオは四つん這いになって、俺の傍にずりずり寄って来て。
 今度は俺も逃げずに、彼女が来るのを待っている。

「逃げないんですネ」

「逃げて欲しかった?」

 ふるふるふるっ。

「……嬉しいです」

 ぽふっ。

 肩にもたれかけられた、頭。
 彼女の肩に手を回し、そっと抱いてやる。

「浴衣……まだ着てたんだ」

「…………(ぽっ)」

「もしかして、セリオ……」

 俺は、妙ににやにやして見せて。
 案の定セリオは、慌てて俺を睨み付ける。

「なっ……どうしてそういう考えに持って行くんですかっ!」

「あれぇ? 『そういう考え』って、一体何を考えたのかなぁ〜?」

 こつん、と軽く頭を当てて。
 鼻の頭が触れるか触れないかという距離で、セリオを。

「ん?」

「…………」

 ……わかってるよ、今度はいぢめすぎないって。






「……いぢわるですね、浩之さん」

「俺、子供だし……好きな子だから、な」

「まぁ……ふふふ」

「……で、セリオは一体何を考えてたのかな?」

 笑って誤魔化そうとしても、見逃してやんない。

「……パスいち」

 かくん。

「どっ、どこで覚えて来たっ?」

 くそう、ずるいぞ。

「……知りたい、ですか?」

「うん、知りたい」

「なら、自分で調べてみてくださいな……」

 両目を閉じて、ついと上を向き。
 よしよし、そうまで言うなら隅々まで調べてやろうじゃないか。

「言ったな……俺の取り調べは生半じゃないぞ?」

「…………」

 微動だにせず、ただ何かを待っているセリオ。
 俺は意を決し、その桜色の唇に……。

 ちゅ……。

「ふっ……ふむぅ……んっ」

 切なそうに漏れる、吐息。
 セリオがゆっくりと俺の首に腕を回し、ぎゅっと抱きしめる。

「浩之さん……」

「下着、やっぱり着けてないんだな」

 セリオのお尻に手を這わせる。
 やはり、下着のラインは感じ取れなかった。

「んっ……」

「上も、なんだろ?」

 背中に回した手は、彼女の浴衣の帯へ伸びて。
 しゅるっ、という音と共にゆっくりとそれを解いていく。

「……秘密、です……」

「ノーパン・ノーブラって、どんな感じだった?」

「そっ、それは……」

 セリオの反応を見ながら、浴衣を徐々にはだけさせて。
 剥かず脱がさず、肘の辺りで止めるのがポイント。
 前は全て開かれ、セリオの恥ずかしいところが全部丸見えで……。

「何だよ……まだ何もしてないのに、こんな……」

「ちょ、ちょっとすーすーして……道行く人が皆、私を見ているような気分に
なってしまって……」

「見られたいんじゃないの? だから、こんなえっちな格好して」

 セリオに俺の足をまたがらせるようにして、上に座らせる。

「興奮してたんだろ? 上も下もこんなに……」

 ぎゅっと、胸の固くしている部分をつまんでみると。

「はぅんっ……そ、そんな……」

「浴衣の下は、何も着てないんだもんなぁ……しかも、こんなに興奮して……
まるで変態だな、のーぱん娘」

「うっ、ううっ……」

 じわりと、セリオの目に涙が滲む。
 でも俺が言葉で嬲る度に、彼女の興奮度合いが上がっているのがわかる。

「ほら……もう零れてるぜ? いじめられるのが好きなのか?」

 今度は、下の方に手を伸ばし。
 すでに滴り始めているそこを、からかうように指の腹でこする。

「はあっ……ああっ!」

「いじめられて濡らすなんてなぁ……のーぱん娘、さすがだぜ」

 びくんびくんと、面白いように身体を痙攣させるセリオ。
 俺の指の動きとシンクロして、その度に悲鳴にも似た声を上げる。

「あっ、ああっ! あああんっ!」

「ほらほら、どうしたのーぱん娘っ! 『あー』しか喋れないのかっ!?」

 びしょ濡れになった俺の手は、時が経つに連れて動きが荒くなり。
 セリオの身体が大きく仰け反るまで、その動きが止むことはなかった。

「あっ、浩之さんっ、あああっ……」

 だらんと力が抜け、俺に身体を預けてくるセリオ。
 でも俺は休む暇も与えず、セリオ自身の液体で濡れたこの手を彼女の顔の前
に持っていく。

「ほら……こんなになっちまったぜ。どうしてくれる?」

「はっ……はぁっ……ごめんなさい……」

 虚ろな眼で、その手を見つめ。
 両手で俺の手首を掴むと、一生懸命にその手を舐め始める。

「んっ、んんっ……」

 ぴちゃぴちゃと恥ずかしい音が響く中、俺は静かに自分自身を露出させる。
 浴衣にトランクス履いてたからな、いつもよりも楽と言えば楽だ。

「んむっ、はぁっ……」

 そんなに指を舐めるのが楽しいのか、俺の行動には一切気付いてないセリオ。
 空いてる方の腕でセリオの身体を抱きしめるフリをして、少し持ち上げて。

「セリオ……」

「んっ、浩之さ……んっ!?」

 虚ろだった眼が、急に見開かれて。
 そう、前触れなしに俺はセリオの中に入って行ったのだった。

「んんん……あっ、はぁっ……」

「おいおい何だよ、馬鹿みたいに口開けて……涎滴らすなよ」

 じゅるっ、と彼女の顎から涎をすすり上げると。
 今度こそ涙を流しながら、俺の頭を抱きしめるセリオ。

「ひっ……浩之さんっ……ひ、酷いデス……」

 がくがくと震えつつも、懸命にそう言ったが。

「酷い? なら、止めるわ」

 ずるっ……。

「あ……」

「ごめんごめん、いじめすぎたな……もう止め止め」

「浩之さん……いじめるのは、もう許してください……」

 切な気に、吐息混じりに。
 でも俺はセリオの胸に顔を埋め、その白い双丘をぺろぺろと舐る……。

「ひゃん……ああっ……」

「……なら、お願いするっつーのが筋だろ?」

 ぺろぺろぺろ。

「あっ……そんな……っ」

「ほら、お願いは? のーぱん娘」

「……おっ、お願いします……続きを、してください……」 

 ぽろぽろと、涙を流して。
 困ったように俺を見つめるその視線が、何だか心地いい。

「……ま、いいだろ。本当なら、それなりの態度を示してもらうんだけどな」

 俺の答えに、彼女は安堵の表情を浮かべる。
 そのほっとしたのも束の間、またいきなりセリオの中に入れる俺。

「はあんっ……そんな、いきなり……」

「でも……入ったぜ? セリオがこんなにびちゃびちゃにしてるから……」

「そ、それは浩之さんが……」

「何? 悪いのは俺?」

 びくっと、少し震えて。
 また途中で止められるのではないかと、おっかなびっくりで話すセリオ。

「そ、そういうわけでは……」

「なら、言えよ。『私はえっちなのーぱん娘です』ってな」

「わっ……」

「そしたら、可愛がってやるぜ? えっちな娘って、俺好きだし」

 言いながら、ゆっくりと身体を動かし始める。
 身体の動きに合わせて揺れるセリオの乳房を眺めながら、彼女の言葉を待つ
俺。

「ほら……早く言わないと……止めちゃうぞぉ……」

 でも、本当に止めるつもりなんか今更ないけど。

「はっ……ああっ……」

 淫らな水音が響く中、セリオはゆっくりと言葉を紡ぐ。

「私は……えっちな、のーぱん娘です……っ」

「…………」

「ですからっ……可愛がってくださいっ……」

「よぅし、よく言った!」

 セリオの身体をぎゅっと抱きしめ、そのまま床に転がし。

「可愛い子には、ご褒美をあげようぢゃないか」

「あんっ……はいっ……♪」












「……性格悪いですネ、浩之さん」

「すまんっ! このとーりっ!」

 ちょっとむすっとした表情で、浴衣をいそいそ直しているセリオ。
 俺はその前で、必死で両手を合わせて拝み倒していたりする。

「……意地悪」

「い、いやぁ……あんまりセリオが可愛いもんだから……」

「…………」

「あのさ……怒った?」

 ぷーっと頬を膨らませていて。
 不謹慎だけど……怒った顔も可愛いよな、なんて思ったり。

「……すっごく、恥ずかしかったんですから」

「でも、その分楽しませてもらったぜ」

 ちゅっ☆

「も、もう……」

「セリオも、随分よかったみたいじゃないか?」

「…………」

 無言。
 でもその表情は、否定というよりは肯定であるように思えた。

「ちょ、調子に乗らないでください……もう、浩之さんは……」

 口ではそう言いながらも、段々と微笑みが零れて来て。

「今日のセリオも、可愛かったよ」

 てへへ、と笑いながらセリオの傍に寄り。
 そして、ぎゅっと彼女を抱きしめて。

「今度は、優しくしてくださいね」

「いつも優しいだろ?」

「……嘘吐き」

 俺の胸に、顔を埋めながらそう言って。
 俺はその髪をなで、お姫様抱っこで彼女を抱き上げる。

「嘘かどうか、今から確かめようかね」

「……断っても、するんでしょう?」

「断るの?」

「……いいえ♪」

 ぎゅっと、俺の首にしがみつくセリオ。
 セリオの頬の感触を感じなつつ、俺は2階へ向かうのだった。






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